庭と植物のコト
第3回|植木には、どのくらいの量の水をあげればいい?|夏の水やりは「根まで届ける」がポイント
「植木に水をやっていますが、どのくらいの量をあげればいいですか?」
夏になると、よくいただく質問です。
水やりの量は、樹木の種類や大きさ、植えている場所、植えてからの年数などによって変わります。
茶花の里では、高木の雑木を中心に、お庭の植栽を扱っています。
今回は、そんな樹木を夏に管理するとき、私たちがどんなところを見ながら水やりをしているのかをご紹介します。
植えて初めての夏は、特に水切れに注意
地植えの庭木でも、植えてから何年も経った樹木と、植え付けて初めての夏を迎える樹木では、水やりの考え方が違います。
特に、移植してまだ時間が経っていない樹木は、根が十分に張っていないことがあります。
根が十分に広がっていない状態では、土の中から水分を吸収できる範囲も限られます。
そのため、植え付けて初めての夏は、特に水切れに注意し、しっかりと水やりをすることが大切です。
「地植えだから、水やりはそれほど必要ない」と思われることがありますが、植え付け後の樹木は別です。
特に久留米の厳しい夏は、土の乾き具合をこまめに確認してあげてください。
水が足りないとき、樹木は葉にサインを出します
樹木が水不足になると、いきなり枯れてしまうわけではありません。
私たちは、まず葉の状態をよく観察します。
例えば、イロハモミジやヤマモミジ。
水分が不足してくると、葉の先端、特に葉先のとがった部分から、枯れたように茶色くなり始めることがあります。
アオダモも同じように、葉先から水切れの障害が出始めることがあります。
これは、私たちが水やりのタイミングを判断するときに見る、大切なサインの一つです。
ヤマボウシやカツラは「葉の向き」を見る
樹木によって、水切れのサインも少し違います。
強い西日を嫌うヤマボウシやカツラなどでは、水分が不足してくると、まず葉が下を向いてくることがあります。
正常な状態では水平に近い葉が、だんだん下を向いてくる。
さらに水分が不足すると、葉が丸まって、太陽の光が直接葉に当たりにくいような状態になることがあります。
これは、植物が葉から水分が失われる「蒸散」を抑えようとしている状態です。
そして、そのまま水不足が進むと、最終的には落葉してしまうことがあります。
「葉が落ちる前に気づく」ことが大切
水切れは、いきなり危険な状態になるわけではありません。
葉が水平
↓
葉が下を向く
↓
葉が丸まる
↓
落葉する
というように、段階的に変化していくことがあります。
落葉するところまで水切れが進んでしまうと、枝枯れにつながる可能性もあります。
だからこそ、葉が落ちてしまう前のサインに気づいて、しっかり水を与えることが大切です。
水やりは「足元に水たまりができるくらい」
では、実際にどのくらい水をあげればいいのでしょうか。
地植えの庭木の場合、私たちは、樹木の足元に水たまりができるくらい、たっぷりと水を与えることを基本にしています。
ポイントは、ただ勢いよく水をかけるのではなく、土の中へゆっくりと水を染み込ませること。
ホースの水量にもよりますが、目安として30秒~60秒程度、しっかり水を与えます。
ただし、時間だけを基準にするのではなく、水が土の中にしっかり染み込んでいるかを確認してください。
大きな樹木には「水をためて染み込ませる」
2~3m以上の樹木になると、必要な水の量も増えてきます。
そんなときに有効なのが、樹木の足元に土で低い土手をつくり、樹幹の周りにドーナッツ状の水鉢をつくる方法です。
その中に水をためるように、ゆっくりと水を入れていきます。
水をためることで、表面を流れていってしまうのを防ぎ、土の中へじっくりと水を染み込ませることができます。
特に乾燥が激しい時期や、植え付け後間もない樹木には、このように「根のあるところまで水を届ける」ことを意識した水やりが重要です。
「弱っているから肥料」ではなく、まず水やり
植物の葉が茶色くなったり、元気がなくなったりすると、
「栄養が足りないのでは?」
と考えて、肥料や活力剤を与えたくなる方も多いと思います。
でも、私たちは、水切れが疑われるときは、まず水やりをしっかりすることを優先します。
まずは水分を十分に行き渡らせ、樹木が少し元気を取り戻してから。
そのうえで、必要であれば、その植物に適した季節や状態を見ながら肥料や活力剤を検討します。
肥料や活力剤は、「こちらがあげたいタイミング」ではなく、植物が必要としているタイミングを考えて与えることが大切だと考えています。
弱っている原因が水不足なのに、さらに肥料を与えることで、かえって植物に負担をかけてしまうこともあります。
夏の水やりは「量」だけでなく「樹木を見る」
夏の水やりで大切なのは、何リットルという数字だけではありません。
その樹木に、今どれだけ水が必要なのか。
その答えを教えてくれるのが、土の状態と樹木の葉です。
植え付けて初めての夏なのか。
今日は朝から気温が高かったのか。
風が強かったのか。
葉がいつもと違う向きをしていないか。
葉先が茶色くなっていないか。
こうした変化を毎日少しずつ見ていると、水切れのサインにも早く気づけるようになります。
久留米の厳しい夏。
大切な庭木を守るためには、「水をあげる」だけではなく、「樹木の様子を見て、必要なところまで水を届ける」ことが大切です。
次回は、夏に特に水切れしやすい**「鉢植えの水やり」**についてご紹介します。