庭と植物のコト

第5回|庭木の葉が変!|なかなか育たない?|「根づくまでの時間」を知っておこう

前回は、庭木が元気に育つためには、土の中で根がしっかり張れることが大切だというお話をしました。

では、植え付けた樹木は、どのくらいの期間でその場所に馴染むのでしょうか。

実は、植えたからといって、すぐに本来の勢いを見せてくれるわけではありません。

新しい枝の伸び方も、「根づき」のサイン

樹木がしっかり根づいてきたときには、新しい枝の伸び方に勢いが出てきます。

イロハモミジなどの雑木では、春から盛夏にかけて、新しい枝が一気に30cmほど伸びることがあります。

植え付け後しばらくは、葉がついて新芽も出ているものの、どこかゆっくりしている。

それが、ある時期から急に新枝を勢いよく伸ばし始める。

そんな姿を見ると、私たちは「ようやく根づいてきたな」と感じます。

ブルーベリーなどでは、さらに長い新梢、いわゆるシュートが一気に伸びることもあります。

ただし、新梢の伸び方は、樹種や品種、樹齢、日当たり、水分、肥料などによって大きく違います。

大切なのは、何cm伸びたかという数字だけではなく、**「去年までと比べて、今年の新しい枝に勢いがあるか」**を見ることです。

「根づいたな」と感じるのは、3年を過ぎた頃

植え付けたばかりの樹木は、すぐにその場所の土に馴染むわけではありません。

植え付け後1~2年ほどは、葉もつき、春には新芽も出てきます。

でも、まだ「ぐんぐん伸びている」という感じではない。

これは、必ずしも元気がないわけではありません。

植え付けたばかりの樹木は、まず新しい土の中で根を張り、環境に順応することに力を使っています。

私たちが「根づいたな」と感じるのは、植え付けから3年を過ぎた頃から、急に新しい枝を勢いよく伸ばし始めたときです。

それまでの1~2年は、葉がついて、新芽が出ていれば、まずはその場所で少しずつ根を広げている時期。

そして、根がしっかり張ってくると、今度は枝葉の成長にも勢いが出てきます。

植えた木が、その場所で元気に暮らし始めるまでには、時間が必要です。

植え替えたら、花が咲かなくなった?

「ハナミズキを植えたのに、花が咲かない」

「ヤマボウシを移植したら、去年まで咲いていたのに今年は花がない」

そんなことがあります。

でも、移植後1~2年ほど花が少なかったり、咲かなかったりすることは、決して珍しいことではありません。

移植は、植物にとって大きなストレスです。

根を切られ、それまでとは違う土や環境に植え替えられる。

そのため、移植したばかりの樹木は、まず新しい場所で根を張り、枝葉を育て、環境に順応することを優先します。

私は、**「まずは木を育てることに力を使っている」**と考えています。

ハナミズキやヤマボウシでは、移植後1~2年ほど花が少なくても、その後しっかり根づいてくると、少しずつ花芽の形成も戻ってきます。

ツバキなどの常緑樹でも、移植後しばらく花がつかないことがあります。

だから、

「植えたのに花が咲かない=弱っている」

とは限りません。

葉が元気で、新しい枝も少しずつ伸びているのであれば、まずはその場所に馴染んでいる途中なのかもしれません。

気長に待つことも、庭づくりの一部です。

樹木の移植は、樹種と季節のバランスが大切

ただし、移植は「いつ植えても同じ」というわけではありません。

樹種によって、移植に適した時期があります。

例えば、茶花の里では、落葉樹は、11月頃から3月初旬頃までを一つの目安として考えています。

一方で、ツバキのような常緑樹は、落葉樹とは逆に、寒さが厳しい時期を避け、3月頃から10月頃までを一つの目安に移植をすませたいと考えています。

寒い時期に無理に移植すると、枯れずに済んだとしても、その後の回復に時間がかかることがあります。

また、同じ樹種でも、樹齢によって移植後の回復の早さは違います。

若い木は比較的立ち直りが早い。

一方、古木になるほど、元気になるのにも時間がかかります。

そして、弱っていくときも、じわじわと進むように感じます。

ツバキは、春まで待つ。剪定も春が適期

ツバキは寒さが苦手な樹木です。

そのため、移植するなら、寒さが厳しい時期を避けて、春になってから行いたいものです。

私は、4月頃からゴールデンウイーク頃までは、ツバキの強剪定にも向いている時期と考えています。

「大きくなりすぎて、もう手に負えない」というツバキでも、この時期なら、思い切ってバッサリと剪定することがあります。

枝は、腕くらいの太さがあっても切ることができます。

反対に、寒い時期に大きく切ったり、無理に移植したりするのは避けたいものです。

樹木には、それぞれ**「剪定や移植に適した季節」**があります。

その樹木が元気に動き出す季節を見極めて、移植や剪定を行う。

これも、庭木を長く元気に育てるための大切なポイントです。

植えた木が、すぐに本来の姿を見せるとは限りません

庭木を植えると、つい「今年きれいに花が咲くかな」と楽しみにしてしまいます。

でも、樹木にとっては、植え付けの日がゴールではありません。

そこから根を伸ばし、その場所の土や水分、日当たり、風に順応しながら、少しずつ自分の居場所をつくっていきます。

植え付け後1~2年は、葉がついて春には新芽が出ていても、成長がゆっくりに見えることがあります。

そして、3年を過ぎた頃から新しい枝を勢いよく伸ばし始める。

そんな変化を見ていると、「やっとこの場所に馴染んだな」と感じます。

植えた木が、その場所で元気に暮らし始めるまでには、時間が必要です。

すぐに結果を求めるのではなく、樹木の変化を見ながら、気長に付き合っていく。

それも、庭を育てる楽しみの一つだと思います。

次回は、庭木の葉に白い粉がついたり、穴があいたり、虫がついたりしたときに知っておきたい、**「病気と害虫の見分け方」**についてご紹介します。